タイヤは車検において最も重要な点検ポイントの一つです。溝の深さが基準を満たさない、ひび割れや変形があると危険な走行につながりかねません。
この記事では、車検でのタイヤの基準と、点検・交換のタイミング、適切な管理方法について詳しく解説します。タイヤの状態を整えることで、安全運転を実現し法令違反を避けられます。
目次
タイヤの状態を保つことはなぜ重要?
安全性の確保
タイヤは車両と路面の唯一の接点であり、その状態が適切でないと車両がスリップしたり転倒して重大な事故につながる恐れがあります。溝が摩耗し、一定の深さを下回ると雨天時のグリップ力が低下し、ハイドロプレーニングが発生しやすくなります。
また、変形やひび割れが生じたタイヤは強度が低下しているため、走行中にバーストする危険性が高くなります。このようにタイヤの状態が適切でない場合、ブレーキ性能やハンドリング性能が著しく損なわれてしまいます。
法的基準を満たす必要性
道路運送車両法に基づき、タイヤの残溝深さやひび割れ、変形の有無など一定の基準を満たさない場合は、公道を走行することが認められません。法令違反となり、違反点数2点や罰金9,000円の罰則が科される可能性があります。
つまり適切な状態のタイヤを装着することは、安全運転を実現し、道路交通法を遵守する上で義務付けられているのです。
タイヤが担う役割
タイヤには重要な役割や機能があり、それらを十分に発揮できる状態であることが車検で確認されます。
- 路面とのグリップ力を発揮し、加速時や旋回時の車両動作を制御する
- 転がり抵抗を抑えることで燃費向上に寄与する
- 減衰性能により振動を吸収し、快適な乗り心地を実現する
タイヤの溝や材質が適切であれば、上記の機能を最大限発揮できますが、摩耗や損傷があれば十分な性能を発揮できなくなります。そのため定期的な点検と、必要に応じた交換が求められるのです。※
車検に合格するためのタイヤの基準
車検において、タイヤの状態は安全運転の観点から最も重要な基準の1つです。摩耗や劣化が進んだタイヤを使用すると、ブレーキ性能の低下やハンドリングの悪化など、重大な事故につながるリスクがあります。
溝の深さ
一般的な道路を走行するために、タイヤの溝の深さは1.6mm以上なければなりません。タイヤの溝がすり減ると濡れた路面での握りが悪くなり、ハイドロプレーニング現象が起きやすくなります。そのため、スリップサイン(溝の使用限界を示す目印)が露出している場合は、タイヤの交換が必要となります。
新品のタイヤの溝の深さは約8mmですが、走行を重ねるごとに徐々に浅くなっていきます。スタッドレスタイヤの場合は「プラットホーム」と呼ばれるサインがあり、溝が50%以下になると冬用タイヤとしての使用限界とされています。
ひび割れ・変形
タイヤの溝の深さが基準を満たしていても、ひび割れや変形があるタイヤは車検に不合格となります。特に側面の膨らみやトレッド面のゆがみは、タイヤの強度が低下している可能性が高く、走行中にバーストしたりスリップする危険性が高まります。この状態での走行は極めてリスクが高くなります。
タイヤの経年劣化
タイヤはゴム製品であるため、使用開始から5年以上経過すると素材が劣化し、グリップ力や耐久性が低下します。そのため溝が残っていても、古いタイヤは安全性が損なわれている可能性があり、交換を検討する必要があります。
このように、法的な基準を満たすだけでなく、十分な安全性を確保するためには、定期的なタイヤのチェックと適切なメンテナンス、早めの交換が不可欠です。
タイヤの状態 | 車検基準 |
---|---|
溝の深さ | 1.6mm以上 |
スリップサイン | 露出していない |
ひび割れ・変形 | 無し |
経年劣化 | 使用開始から5年以内が望ましい |
タイヤを交換すべきタイミング
タイヤは車検でも安全上最も重要なポイントの一つです。タイヤの溝がすり減ったり、ひび割れや変形があると路面からの十分なグリップ力が得られず、危険な状態に陥る可能性があります。ここでは、タイヤの状態を適切にチェックする方法や、交換時に注意すべきポイントを紹介します。
タイヤ状態の確認方法
タイヤの状態を定期的に点検する習慣を付けましょう。溝の深さ、ひび割れ、変形の有無を目視で確認することが基本です。
- 溝の深さは簡単に確認できます。スリップサイン(スリップの目安を示す目印)が露出していないか注意を払いましょう。側面の”△”マークの延長上にある溝部分に注目し、スリップサインが見えていたら交換が必要な証拠です。さらに確実な確認方法としては、摩耗計で溝の深さを測ることが挙げられます。
- ひび割れや変形のチェックは側面とトレッド面を注意深く観察することが大切です。ひび割れや膨らみ、ゆがみが見られれば即座に交換する必要があります。
交換時の注意点
新しいタイヤに交換する際は、単に溝が深ければよいというわけではありません。
- まず自分の車種に適したサイズを選ぶことが大前提です。適正サイズとは異なるタイヤを装着すると様々なトラブルの元になります。
- 次に好みや目的用途に合った性能のタイヤを選びましょう。静粛性を重視するか、燃費性能を上げたいのか、グリップ力を高めたいのか。メーカーの製品説明をよく読んで、自身のニーズに合った商品を購入することが大切です※。
このようにタイヤの点検と交換タイミングには細心の注意を払い、安全面や目的に応じた適切なタイヤ選択を心がける必要があります。
タイヤの適切な管理方法
タイヤを適切に管理することは、車検に通過するためだけでなく、安全運転のために非常に重要です。タイヤの状態が悪いと、ブレーキング性能やハンドリング性能が低下し、重大な事故につながる可能性があります。そのため、毎日の点検やメンテナンス、定期的な交換が欠かせません。
空気圧の維持
タイヤの空気圧を適切な値に保つことは、タイヤの性能を最大限に発揮させるための重要な要素です。空気圧が不足すると偏摩耗が起こり、タイヤの寿命が短くなります。逆に空気圧が高すぎると、接地面が狭くなりグリップ力が低下するだけでなく、衝撃を十分に吸収できず乗り心地が悪化します。
タイヤの取扱説明書や車両の取扱説明書に記載されている適正な空気圧値を守り、定期的に確認することが重要です。特に季節の変わり目には空気圧の変動が大きくなるので、注意が必要です。
アライメント調整・ローテーション
アライメントが狂うと、タイヤの偏摩耗が促進されます。アライメントとは、タイヤの向きやキャンバー角、キャスター角などタイヤが適切な方向で取り付けられているかを指す言葉です。適切な状態を保つことでタイヤの摩耗を均一化できます。アライメントは走行距離とともに少しずつズレが生じるので、定期的な点検と調整が求められます。
さらに、駆動輪と非駆動輪では摩耗の速度が異なるため、約5,000km走行ごとにタイヤの位置を入れ替える「ローテーション」が不可欠です。これにより、タイヤの寿命を均等に保つことができます。
運転方法・保管方法が与える影響
急発進や急ブレーキ、ドリフト走行などの乱暴な運転はタイヤに大きな負担をかけ、早期の摩耗につながります。穏やかな運転を心がける一方で、運転スタイルに合わせてタイヤを選ぶことも重要です。
また、タイヤの保管場所と方法も寿命に影響を及ぼします。直射日光や雨ざらしは避け、風通しの良い涼しい場所に保管し、空気を半分抜いてカバーをかけるのがおすすめです。
ここまで見てきたように、タイヤの適切な管理には様々な要素が関係しています。車検に通るだけでなく、安全運転のためにも、メーカーの指示に従い、細かな点に気を配る必要があります。
まとめ
車検に合格するには、タイヤの溝が1.6mm以上あり、スリップサインが露出していないことが必要です。ひび割れや変形がないことも大前提です。さらに、使用開始から5年を経過すると素材の劣化が進むため、溝が十分残っていても交換を検討する必要があります。定期的な点検や空気圧と位置のメンテナンスを行えば、タイヤの寿命を延ばすことができます。
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